【akamakinenのコ・ドラ教室】
コ・ドライバ-としての経験値はさして高くはない自分ですが、コ・ドライバーの魅力を伝えられたらなと思います。
ドライバーには分からないコ・ドラの奥深さなんかが示せたら幸いです。
ラリーという競技は、ドライバーだけではなく、コ・ドライバー(ナビ)と言われる人間が助手席に乗り込んで初めて出場できる競技です。
「コ・ドライバーに興味はあるけど、コ・ドライバーの情報が少なくて良く分からない」とか、「自分はコ・ドライバーをやることができるんだろうか」とかお考えの方に、何かしら伝えられたらなと思います。
コ・ドラを本格的にやられている方からすると、「もっといい方法があるぞ」とか、「それは違うだろ」ということもあると思いますが、その点はご容赦頂ければと思います。
なお、最近ではアベレージラリー(計算ラリー)が姿を消してきていますので、TC(タイムコントロール)ラリーをベースに書いて行こうと思います。※TCラリーはWRCを想像してもらえると分かりやすいと思いますが、SS区間で誰が一番速かったかというラリーです。
1.コ・ドライバーって楽しいの???
結構ラリーをやりたい人は、やはりドライバー志望が多いという状況ですが、コ・ドラって楽しいの?と言われると、はっきり言って楽しいです!確かに車自体はドライバーによって走らせられていますが、コ・ドラは重量物に過ぎないのかと言われると、そうではないんですよね。 ドライバーの楽しさとコ・ドライバーの楽しさは違いますので、ドライバーでは味わえない楽しさがあるわけです。
実際に自分はドライバーもコ・ドライバーも共に経験したことのある人間ですが、コ・ドラというのは奥深いものだなと思います。
日本のラリーのほとんどは夜中に人の住んでいないような林道を使って走ります。ほとんど明りのない道を走っていくわけです。
そうすると、道を知らない人間が、夜中の林道という曲がりくねった道を、車の能力を生かして走るのはほとんど不可能に近いものがあります。場所によっては、ガードレールもない道を走行しますので、道路から飛び出した瞬間に落下ということになるわけですね。
そこでドライバーにアクセルを踏ませてあげられるのはコ・ドラの役割というわけです。
ペースノートがなく、周りがペースノートを持っていたという中で、ラリーに出たことがありましたが、恥ずかしい話、1分後に出走した車をパスさせたことがあります。夜が明けてきてからアクセルが踏めるようになり、タイムは悪くなかったので、やはり夜中の有視界走行の限界というのを身を持って体験できましたね。
役割は一言で言うと、コ・ドライバーはドライバーがスムーズにかつリズミカルに走れるように誘導をするわけです。
実際に、助手席に乗って、SS区間をドライバーが走っていますが、コ・ドラは今現在いるコーナーを気にするよりも、先の道がどうなっているのかという方に意識が行きます。
ペースノートを読みながら、次のコーナーとその先の道路状況をイメージ出来ますので、ドライバーにどのタイミングでその情報を伝達してあげるかということを考えたりします。
現にハイスピードで走っている場合には、その先が急なコーナーであったり、道幅が狭くなるコーナーなどは、車の車速を下げないとコースアウトやクラッシュの危険が増すわけです。ですので、早めにブレーキをかけさせてあげないといけなくなるので、その情報伝達は早めに行わないと間に合わないんですよね。
簡単にいうとこういう感じです。
・車速が乗っていて、先で結構な減速が必要な場合:コーナー情報は早めに。減速が必要な旨を伝える。
・上り坂の頂上よりも先が見えない場合:頂上よりも先の情報を早めに教える。
・コーナーが短く、その後直線になる場合:コーナーに飛び込むよりも手前でその先の直線についての情報も伝える。
・コーナーが長い場合:コーナーの途中でその先のアプローチについて伝える。
こういった情報をドライバーが聞くことによって、コーナーの立ち上がりをどうするか、ライン取りをどうするかと考えて車を操ることが出来ます。
実際にコ・ドラをやっている時にも、自分だったらこう走らせて行くだろうなということを想像しながらペースノートを読み上げていたりしますので、ドライバーが突っ込みすぎたとか、乗れているとかが結構分かるものです。
SSのフィニッシュ通過したときに、ドライバーが満足していた時には、正直「勝った!」という満足感がありますね。周りのライバルに勝ったのか、コースに勝ったのか、誰に勝ったかというのは何だか分かりませんが、これを実感できるのがコ・ドライバーの醍醐味だと思います。
自分がダートトライアルの練習会なんかに行くと、助手席に皆さんが喜んで乗ってくれますけど、あくまでもジェットコースター気分で乗り込んでいると思います。が、コ・ドラをやると、ジェットコースターに載せられている感ではなく、ドライバーの走りを制御している楽しさがありますので、ハンドルを握っていなくても、ラリーを組み立てることができるという美味しい経験ができます。
・ダートトライアルの同乗走行の場合=「刺激的な走行を体験できる」
・ラリーのコ・ドラの場合=「ドライバーの運転を自分が想像するように走らせることができる」+「刺激的な走行を体験できる」
2.コ・ドライバーの役割
さて、コ・ドライバーの役割ですが、簡単にいうと道案内となります。
ただ、道案内にも2種類の仕事があります。
1つ目はリエゾン区間(SSスタートまでの移動区間)の道案内:コマ図というものが配布されます。
これに基づいて、SSのスタートなどへ誘導します。
ちなみに、この道案内に失敗すると大変迷子になりますので、きちんと距離などが書いてありますので、それに基づいて走って行きましょう。一般的な道路地図とは違いますが、これだけで目的地に行けるというのも素敵だなと思います。
カーナビに頼りすぎている方々は、このアナログな作業を楽しんでもらえるとと思います。
読み方で面白いなと感じたのは、「ドンツキ右~」とかですかね(笑)
ここで自分は迷わないように蛍光ペンで進むべき方向を確認をしています。
また、確実に通過したことを自分に分からせるために通過後にチェックマークとかをつけておくことも良いでしょう。
リエゾン区間→SSスタート→SSフィニッシュ→リエゾン区間
といったイメージでしょうか。ですので、リエゾン区間ではコマ図、SSスタートからフィニッシュでは後述のペースノートとなります。
実際に自分が読み上げるために用いたペースノートです。
色々な数字やらアルファベットを記載していますが、これがドライバーと共に作成するペースノートとなります。
こちらではコーナーを1~6の数字できつさを示してあります。1はきつく、6はものすごく緩やかといったイメージですね。
これにRは右、Lは左となります。 Sはストレートとなりますので。△は「すぐ」で使ってます。
左の画像では、スタートしてまずやって来るのがものすごく緩やかな右コーナーが長く(long)続いて、その後、直線が100メートルくらいで、そのさきはゆるやかな右カーブが長く続いて、その終点の先で緩やかな左コーナーが超長くつづいて・・・・という状況です。
これを本番でドライバーに伝えることで、先が見えない道でも、その先がどうなっているのかということをドライバーが知ることができるわけです。
ただ、危険なのは、本番のドラのハードなブレーキや横Gによって、ペースノートを読むことが難しくなることがあるということです。実際に、道路状況を見ながら、ペースノートも読んでということをやっていると、どこを読んでいたのか分からなくなることがあるので(いわゆるロストというものです)。こうなってしまった時のための対処法?については、後述していきます。
コ・ドラの準備物。色々とありますが。
免許証・ライセンス・健康管理カード・ヘルメット・レーシングスーツといった競技であれば当然に必要な物は別として。コ・ドラが持っていないとイケないものなどもあります。
①電卓
時間計算をするので、60進法計算ができるもの。といっても、最近では時間の計算ができる電卓も安く手に入りますので。まあ、落ち着いて安全でも計算はできますので、必ず必要というわけではありません。
②ペースノート作成用の筆記用具
ペンを使ったりする人もいますが、自分は製図用のノック式のシャープペンみたいなやつを使っています。正式名称は知りませんが。
これが結構使いやすいです。鉛筆だと削ったりすることが必要になりますが、これは不要です。
③その他もろもろ
ペンライトはあった方が良いですね。コ・ドラ席では基本的にナビランプがついているので、不要にも思えますが、車外で何かを確認するとか、あると便利です。
これ以外にも当然にありますが、こんなものはいつも使ってます。
・ふせん:ペースノートに貼ったり、コマ図に貼ったりとあると便利なもの。ペースノートのSS毎のページが分かるようにいつも貼ってます。
・両面テープ:チェックポイントなどでタイムカードをもらう時に、コントロールシートに先に貼っておきます。タイムカードをもらったらすぐに貼れるという優れもの。
・蛍光ペン:コマ図の進行ルートになる部分を塗っていくのに使ってます。黄色は見えづらいのでやめましょう。
・サインペン:絶対に見落とさないようにしなければならないことを書いたり、コマ図に自車の通過タイムを書き落としておくなどのときに使います。さすがに見落とさないので、抜けてはならないことはサインペンで書いてます。
・ペンホルダー:バインダーに挟んで使ってます。ペンを探さなくて済むので。
・指サック:ペースノートリーディングのときにめくりやすいように使ってます。
他にも電波時計を持って行くとか、色々とありますが、荷物が多すぎても邪魔なので、絶対に使わない物は持って行きません。
4.レッキ
レッキとは、本番で使うペースノートを作成することとなります。
基本的にドライバーが読み上げ、それをコ・ドライバーが聞き取りながらノートに書き込むという作業です。
①文字の大きさ
初心者の頃は、ページをあまりめくりたくないとか、ページが勿体ないからと小さな字でページ一杯に使う人も見受けられます。
が、実際にラリー中に読むとなると、小さな字では本来読むべき行でないところを読んでしまうといった、ロストに繋がる危険性をはらみます。
ですので、ノートに使う文字は大きめにしましょう。だいたい、A4判で1キロあたり、1ページといった感じかと思います。
また、連続で読みあげないといけない場合に、ページをめくるのは本番では危険がともないます。
ある程度、ページの下の方まで行った段階で、余裕がある場所で次のページに移った方が良いでしょう。余裕がある場所というのは、「長い直線」や「長いタイトなコーナー」などです。
時間にゆとりがあるので、ページをめくるのに焦る必要はなくなります。
②レッキの回数と清書について
レッキは1本のときもあれば、2本のときもあります。2本のときは1本目に書いた内容の修正ができます。が、1本のときは、ドライバーの言った内容を間違えて書いてしまうと、本番で危険と直面します。ですので、しっかりとノートを取るようにしましょう。
また、レッキが終わった後に、清書としてノートを書き写すこともあるかも知れませんが、時間がない場合もほとんどです。また、書き写しで間違いがあると危険です。ですので、書き写しは自分ではやらないようにしています。
③ロスト対策について
本番でロストしないことが重要ですが、万が一に備えて、レッキ中に復帰すべきポイントを記したりします。これについては、皆さんそれぞれがあると思いますが、自分ではこんな感じです。
・500メートルごとの距離をメモしておく(NONOでは、500メートルごとにブザーがなるのが基本なので、レッキ中に距離を入れておけば、ロストしても、先回りして、おおよその位置を確認して復帰することが可能)
・橋など、目印になりやすいものを記しておく(カーブミラーという方もいらっしゃいますが、カーブミラーは多すぎて自分では目印にできません)。目立つのは、橋、大きな岩、林道で広くなる部分、長い直線、長いコーナー、グレーチング、ラジオポイントなどなど。
④ドライバーの読み上げに対しての補足
ドライバーが読んでいないことであっても、コーナーのイン側に大きな石があるなどの場合には、「ドントカット」とか、「キープアウト」とか入れてあげると良いかと。
ドライバーの言ったこと以外も入れてあげられるとドライバーも助かります。
5.本番
ドライバーを走らせることに集中しましょう。なお、スタート前に重要なお知らせが本部に掲示されることがありますので、必ず、掲示物は確認して下さい。掲示してあれば、参加者に伝えたことになりますので、聞いていないといった文句は言えませんので。
①本番スタート
いよいよ本番スタートです。チェックポイントへは指定時間の1分前から入ることができます。
黄色い看板の前で待って、1分前になったらドライバーに入れることを伝えてください。
その後、チェックポイントの赤い看板の所でドライバーが停止します。
コ・ドラは、窓を開けて、オフィシャルの人に元気よく「ゼッケン〇〇番です」と伝えてください。ここでスタート時刻を伝えられ、セレモニアルスタート的に出発します。ここだけ、見送ってくれる人達がいます。手を振りながらスタートしましょう。
②SSスタート地点まで誘導する。
・コマ図を使って、SSスタート地点まで誘導します。途中で曲がる部分を間違ったりすると迷子になり、SSスタート地点にたどり着けなくなりますので、コマ図を確実に見て、誘導しましょう。自分は、通過したコマ図にはチェックマークを入れるようにしています。入れておけば、どこまで通過したかは分かりますので。
・SSスタート地点付近になると、チェックポイント前で前走車などがたまっています。順番にチェックポイントに入るので、待ちます。自分たちの番が近付くと分かると思いますが、チェックポイント前に黄色い看板が出ます。黄色い看板前で停止し、チェックポイントに入るべき1分前を過ぎたら、進入が許されます。1分前になるよりも前に入るとペナルティーの減点をもらってしまいますので、注意しましょう。
なお、自分の番が近付いてきたら、ヘルメットを装着し、シートベルトを締めておきましょう。SSスタートまで時間がないことが多いので。
・黄色い看板から進入した後に、赤い看板でオフィシャルにカードを渡します。が、注意すべきは、指定時刻にならないと提出ができません。1分前位に進入しますので、1分弱はこの看板のところで提出せずに待つ形になります。たまにオフィシャルがからかい半分で手を出してきますが、この誘いに乗ってはいけません。指定された時刻になったら、自分からゼッケンを名乗って渡してください。なお、例として、8時20分に提出する時刻とされている場合には、20分00秒~59秒までで出せばよいので、過ぎたなと思ったら、余裕を見て渡せば大丈夫です。
・そうすると、オフィシャルから、SSスタート時刻を告げられます。受け取ったら、SSスタート地点へ移動します。
・SSスタート地点では確実にヘルメットとシートベルトを締めていないとなりません。
・SSスタート地点に着いたら、オフィシャルにカードを渡します。再びスタート時刻を告げられます。オフィシャルからカードを返してもらうといよいよSSスタートがやってきます。
結構ドキドキです。
③SSスタート
・SSスタートの準備ができた段階で、前走車がスタートしていくのが見えます。速いなぁ~などと感想を持ちながら、自分たちの番を待ちます。
・カードを受け取ってから、スタートまで45秒くらいの時間がありますが、結構長く感じます。ドライバーにスタートして少し先までの状況をイメージさせるために、ペースノートを少し読んであげると、ドライバーはスタートしてからのイメージを膨らませることができます。
・30秒前あたりから、オフィシャルのカウントダウンが始まります。同じようにコドラも伝えてあげましょう。「15秒前・・・・・・・・10秒前・・・・・・・・5秒前、4、3,2,1、スタート!」
で、ペースノートを読んで行く形になります。
④SSフィニッシュ
ドライバーがたまに間違えるのが、フィニッシュが来ることを示す前におかれた黄色い看板で、フィニッシュと思う人もいます。が、赤い看板までがタイム計測区間となりますので、アクセルを緩めるようなそぶりがあったら、まだフィニッシュは先だということを伝えてあげてください。
赤い看板を過ぎたら、その先にオフィシャルがいますので、そこで停止して、オフィシャルにゼッケンを伝えながらカードを渡すなどしましょう。
その後に次のチェックポイントまでコマ図を使って移動します。
フィニッシュしたあとに、少し先に行って、ヘルメットを脱ぐなどがあります。ドライバーが脱いだら受け取って、吊るすなり、ハンモックに入れるなりはコドラの役割です。SSだけがヘルメット装着区間ですので、それ以外はヘルメットを脱いでも大丈夫です。ただ、次のSSスタートがすぐだとか、時間的に余裕がなさそうなときは、ヘルメットは被ったまま行きましょう。
で、②からの繰り返しになります。
⑤サービスに戻る
・第一レグが終わると、サービスに戻ってきます。サービスに戻る前にもチェックポイントがあります。申告チェックだったりもしますので、予定より早く帰って来ることがありますので、本番での確認をしておきましょう。
・サービスでは、車の整備になります。ブレーキのエア抜きをしたりという作業になりますが、コドラは暇ではありません。車のメンテについては、ドライバーに任せて、コドラは次のスタート時刻などを確認したり、提出物があるときは、計算などして、決められた時間までにオフィシャルに書類提出をするなどしなければならないので、注意しましょう。
また、オフィシャルから予定時刻の変更など、指示がある場合があるので、本部で掲示される掲示物には目を通すようにしましょう。
・サービスでは食事を食べることが多くなります。第一レグで気持ち悪いときは、食べない方が賢明です。なぜなら、禁断のリバースモードに突入する危険性があります。全然酔いなどがないときは、食べちゃって大丈夫だと思います。
⑥第2レグ開始
基本的には第1レグのスタートと変わりません。ただ、時間の変更などもありますので、本部の掲示物は見るようにしてください。
⑦フィニッシュ
無事に終了すれば、フィニッシュです。リタイアする場合には、リタイア届を出して終えます。
書類提出が待っていますので、その作業はコドラがやります。計算ミスなどをしないようにしてください。
6.まとめ
長く書きましたが、あんまりイメージが持てないかもしれません。分からないことは、周りのコドラの皆さんに聞いてみましょう。初めての参加とわかると、結構親切に教えてくれます。
なお、当日の大まかな流れ(例)は下記のような感じです。
現地到着
↓
レッキ受付
↓
レッキ参加(ペースノート作成)
↓
レッキから戻る
↓
競技受付&車検
※競技受付は免許証・車検証・ライセンス・参加受理書持参
※車検はドライバーがやりますが、ヘルメットとスーツは車に入れておいてください。
↓
ブリーフィング(ミーティング)
↓
時刻が来たら、スタート
そんな感じです。コドラも結構大変だと思いますが、楽しんで行くことがまず大事ですので、頑張ってみてください。